和歌と俳句

長谷川素逝

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夏灼くる砲車とともにわれこそ征け

頑躯汗すこやかあだをうたでやまじ

雨さむし日本の海とわかるる日

渤海の秋の落日けふも見き

ゆたかなる棉の原野にいまいくさ

原をゆきわれたるをふりあふぐ

星空のさむき夜明よ地に寝て

鵲なくや霜天いまだくらきより

かきくもり雷鳴雹をたたきつけぬ

探照燈の光芒下むきに地の枯草

月たかく小さく叉銃して寝まる

夜の雷雨砲車に光りては消ゆる

をのこわれいくさのにはの明治節

友をはふりなみだせし目にたかく

たかく空のひかりの中をゆく

空しろくくもりていくさ冬は来ぬ

つち風のあらし地平より起る

つち風は地を這ひ足をもつらする

つち風のあらしもくもくと兵らゆく