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飯田蛇笏

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春浅き草喰む馬の轡かな

芥火に沈丁焦げぬ暮の春

草籠の蔭に雉子春の山

花の風山峰たかくわたるかな

晴嵐に松鳴る中のさくらかな

松伐りし山のひろさや躑躅咲く

煮るものに大湖の蝦や夏近し

果樹園に積む石ありておぼろかな

さくら餅食ふやみやこのぬくき雨

鮒膾瀬多の橋裏にさす日かな

火なき炉の大いさ淋し春の宿

吉野山奥の行燈や一の午

蛤や鳴戸の渦にあづからず

ながき日や洛を中の社寺詣

琵琶の帆に煙霞も末の四月かな

朧夜や本所の火事も噂ぎり

猫の子のなつくいとまや文づかひ

や人遠ければ窓に恋ふ

雛の日や遅く暮れたる山の鐘

久遠寺へ閑な渡しや雉子の声

山越えてきてわたる瀬や柳鮠

たがやして社の花に午餉かな

木曽人は花にたがやす檜笠かな

山寺やむざと塵すつ梅の崖

藪中の木を積む墓所や白し

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