音も無き苺をつぶす雷の下
朝の虹ひとり仰げる新樹かな
虹たつやとりどり熟れしトマト園
翡翠や露の青空映りそむ
昼顔のほとりによべの渚あり
日覆や湯槽の潮未だ沸かず
ウインドを並び展けゐて夏めきぬ
プラタナス夜もみどりなる夏は来ぬ
昼顔に独りのわれは泳がなく
穂麦の野川ゆき川の水やさし
噴水のしぶけり四方に風の街
ビル街は空地の犬のひるね時
熱帯魚みなしづかなり値たかく
寝し町の涼しさ尽きず月光り
田植どき夜は月かげ田をわたり
月青し早乙女ら来て海に入り
蛾のとぶ線落葉松限りなくあをし
落葉松に雲ゆき径を蛇ゆけり
昆虫展並樹の青のかげ来ずや
中学生わかし蛾族を花とみぬ
兜虫漆黒なり吾汗ばめる
昆虫類あまねくみたり指をみる
図譜買へば昆虫界に銭の音
汗の耳靴曳く音をきくのみなり
描きて赤き夏の巴里をかなしめる
画廊守うつむけり夏を白皙に