和歌と俳句

石田波郷

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音も無きをつぶす雷の下

朝の虹ひとり仰げる新樹かな

虹たつやとりどり熟れしトマト園

翡翠や露の青空映りそむ

昼顔のほとりによべの渚あり

日覆や湯槽の潮未だ沸かず

ウインドを並び展けゐて夏めきぬ

プラタナス夜もみどりなる夏は来ぬ

昼顔に独りのわれは泳がなく

穂麦の野川ゆき川の水やさし

噴水のしぶけり四方に風の街

ビル街は空地の犬のひるね時

熱帯魚みなしづかなり値たかく

寝し町の涼しさ尽きず月光り

田植どき夜は月かげ田をわたり

月青し早乙女ら来て海に入り

のとぶ線落葉松限りなくあをし

落葉松に雲ゆき径を蛇ゆけり

昆虫展並樹の青のかげ来ずや

中学生わかし蛾族を花とみぬ

兜虫漆黒なり吾汗ばめる

昆虫類あまねくみたり指をみる

図譜買へば昆虫界に銭の音

汗の耳靴曳く音をきくのみなり

描きて赤きの巴里をかなしめる

画廊守うつむけりを白皙に