ふりそそぐ日の戯れて朱欒もぐ
篁の鉾ゐならべり冬構
枇杷の花暁けそむるより憩らはず
葉牡丹やわが想ふ顔みな笑まふ
寒卵薔薇色させる朝ありぬ
檻の鷲さびしくなれば羽搏つかも
スチームにともに凭るひと母に似し
枯澄みし天城を縫ひてバスの揺れ
坂をゆき風邪かすかなり昼ふかし
風邪ごころ坂は電車もしづかなる
枯芝に学生ぞ黄なる寝顔せり
霜の樹々一樹歪みて崖に向く
霜の樹々影のながれの崖に向く
霜の崖一刷毛の日がさしてゐる
霜の崖徹夜の仕事抱きて攀づ
聖誕祭蹌踉の犬を蹴りて路地
スケート場芝区の街路海に出づ
スケート場海光の青の窓を篏め
スケートの渦を一人の服を見る
スケートの渦のゆるめり楽やすめり
スケートの父と子ワルツ疑はず