侘び住みて雪に早寝や嫁ヶ君
山里へはるばるありし賀客かな
我が門やよその子遊ぶ手毬唄
柱にかけし輪飾うつり初鏡
賀状出しに又でる門や松の内
餅焼いて親しき客や松の内
門ゆくも心安けれ松とれて
梳初や油光りの手馴櫛
葛飾の里より来たり若菜売
旅にある心安さよお元日
賑かに人の出入りや松飾
かくれ家も世に交りけり松飾
若菜買ふや濡れ手拭きつゝ厨口
松納め元のいぶせき戸口かな
双六やいと幼きも打ち交じり
ちらかりて手毬もありぬ部屋のうち
温泉に来て元日を遊びけり
年礼や心おぼえの古きみち
弾初や声高々とあどけなき
賀状来ぬ其の人の訃や人づてに
むべ山の札よごれゐる歌留多かな
結ひ初の重たき髷も嬉しけれ
人日や早なりはひのおのがじし