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高浜虚子

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夕立やぬれて戻りて欄に倚る

縄朽ちて水鶏叩けばあく戸なり

先生が盗人でおはせしか

病む人の蚊遣見てゐる蚊帳の中

蚊帳越しに薬煮る母をかなしみつ

人病むやひたと来て鳴く壁の

涼み笛吹く人をとりまきぬ

五月雨や魚とる人の流るべう

雨に濡れ日に乾きたるかな

煙管のむ手品の下手や夕涼み

葛水に松風塵を落すなり

大海のうしほはあれど旱かな

或時は谷深く折る夏花かな

鎌とげば藜悲しむけしきかな

蚊遣火や縁に腰かけ話し去る

行水の女にほれる烏かな

卯の花や仏も願はず隠れ住む

寂として残る土階や花茨

門額の大字に点す蝸牛かな

主客閑話ででむし竹を上るなり

麻の中月の白さに送りけり

上人の俳諧の灯や灯取虫

稚児の手の墨ぞ涼しき松の寺

夏痩の身をつとめけり婦人会


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