物売も佇む人も神の春
人に恥ぢ神には恥ぢず初詣
神は唯みそなはすのみ初詣
推し量る神慮かしこし初詣
七種に更に嫁菜を加へけり
歌留多とる皆美しく負けまじく
双六に負けおとなしく美しく
初句会浮世話をするよりも
粛々と群聚はすゝむ初詣
褄とりて独り静に羽子をつく
追羽子のいづれも上手姉妹
床の花已に古びや松の内
初詣神慮は測り難けれど
願ぎ事はもとより一つ初詣
薮入や母にいはねばならぬこと
初乗や油井の渚を駒竝めて
羽子板を犬咥へ来し芝生かな
福寿草遺産といふは蔵書のみ
松過ぎの又も光陰矢の如し
万才の佇み見るは紙芝居
まろびたる娘より転がる手毬かな
萬歳のうしろ姿も恵方道
初凪や大きな浪のときに来る
口あけて腹の底まで初笑
道のべに延命地蔵古稀の春
片づけて福寿草のみ置かれあり
初夢の唯空白を存したり