あすは雨らしい青葉の中の堂を閉める
一日物云はず蝶の影さす
友を送りて雨風に追はれてもどる
雨の日は御灯ともし一人居る
なぎさふりかへる我が足跡も無く
軽いたもとが嬉しい池のさざなみ
静もれる森の中をののける此の一葉
井戸の暗さにわが顔を見出す
沈黙の池に亀一つ浮き上る
鐘ついて去る鐘の余韻の中
炎天の底の蟻等ばかりの世となり
山の夕陽の墓地の空海へかたぶく
柘榴が口あけたたはけた恋だ
たつた一人になりきつて夕空
墓原路とてもなく夕の漁村に下りる
高浪打ちかへす砂浜に一人を投げ出す
雨に降りつめられて暮るる外なし御堂
昼寝起きればつかれた物のかげばかり
何も忘れた気で夏帽をかぶつて
ねむの花の昼すぎの釣鐘重たし
氷店がひよいと出来て白波
父子で住んで言葉少なく朝顔が咲いて
砂山赤い旗たてて海へ見せる
声かけて行く人に迎火の顔あげる