俳句案内

尾崎放哉

十一
十二

蛇が殺されて居る炎天をまたいで通る

ほのかなる草花の匂を嗅ぎ出さうとする

潮満ちきつてなくはひぐらし

茄子もいできてぎしぎし洗ふ

朝顔の白が咲きつづくわりなし

蛙の子がふえたこと地べたのぬくとさ

船乗りと山の温泉に来て雨をきいてる

あらしの闇を見つめるわが眼が灯もる

海のあけくれのなんにもない部屋

銅銭ばかりかぞへて夕べ事足りて居る

夕べひよいと出た一本足の雀よ

たばこが消えて居る淋しさをなげすてる

空暗く垂れ大きな蟻が畳をはつてる

蚊帳の釣手を高くして僧と二人寝る

を殺す殺すつぎから出てくる

雨の幾日かつづき雀と見てゐる

雑巾しぼるペンだこが白たたけた手だ

友の夏帽が新らしい海に行かうか

写真うつしたきりで夕風にわかれてしまつた

血がにじむ手で泳ぎ出た草原

昼の蚊たたいて古新聞よんで

人をそしる心をすて豆の皮むく

はかなさは燈明の油が煮える

刈田で烏の顔をまぢかに見た

落葉木をふりおとして青空をはく

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