和歌と俳句

雛祭

みなし子のひとりで遊ぶ雛哉 子規

雛祭り二日の宵ぞたのもしき 子規

めでたしや娘ばかりの雛の宿 子規

はれてあふ雛に人目の関もなし 子規

雛殿も語らせ給へ宵の雨 漱石

雛の影桃の影壁に重なりぬ 子規

雛二つ桃一枝や床の上 子規

端然と恋をして居る雛かな 漱石

忽然と石割れ出る内裏雛 虚子

白桃にかくれまします古雛 虚子

雛の灯に油つぎたし遊びけり 虚子

山吹に流れよりたる雛かな 虚子

もたれあひて倒れずにある雛かな 虚子

子規
かしこしや賤が伏家の内裏雛御酒奉る餅たてまつる

子規
七人の娘持ちたる賤が家の雛すくなく桃の花も無し

子規
東京は春まだ寒き雛祭梅のさかりに桃の花を売る

二番目の娘みめよし雛祭 子規

母方は善き家柄や雛祭 子規

土雛は昔流人や作りけん 水巴

二人して雛にかしづく楽しさよ 漱石

紙礫打たれん雛が下座にて 碧梧桐

雛の間へまがりて長き廊下かな 万太郎

雛の間の欄下の汐も乾きたり 万太郎

蕎麦打つて雛も三月五日かな 鬼城


古雛をかざりひゝなの繪を掛けしその床の間に向ひてすわりぬ

雛の日や遅く暮れたる山の鐘 蛇笏

晶子
家のうちうす暗き日もあてやかに白きめでたき雛の顔かな

晶子
小ゆるぎの磯のあわびを人くれぬ上巳の雛の大みさかなに