和歌と俳句

春泥

春泥や魚屋の荷の鯛鰆 喜舟

板踏めば春泥こたへ動きけり 虚子

春泥や屏風かついで高足駄 蛇笏

春泥に光り沈みし簪かな かな女

春泥や甲に新らしき草鞋紐 汀女

春泥や四條五條の人通り 草城

丸善を出て暮れにけり春の泥 草城

春泥やみち行く人を蔀より 石鼎

洗ひたる甃に載りし春の泥 石鼎

春泥に傾く芝居幟かな 風生

春泥やぐさと踏み込む花の路 石鼎

春泥や月の下なる枳殻垣 石鼎

春泥や星と相添ふ三日の月 石鼎

春泥や夕刊飛んで地に落ちず 普羅

春泥に子等のちんぽこならびけり 茅舎

春泥や静かに這うて庵煙 石鼎

行きずりの人美しや春の泥 石鼎

春泥や本門寺まで通ひ馬車 悌二郎

春泥や靴音重く子の帰る 淡路女

曽根崎の昼たけにけり春の泥 草城

南座を出て春泥の四条あり 草城

春泥に影坊二つあとやさき 蛇笏

春泥や障子の中の梭の音 悌二郎

春泥や和子の抱ける壺仏 月二郎

鴨の嘴よりたらたらと春の泥 虚子

薪割れる木屑とび来し春の泥 泊雲

春の泥椿の幹にしたゝかに 泊雲

春泥や誰れが落しし梅一枝 石鼎

春泥にはるばる道の夕日かな 石鼎

春泥やふとこちむきて人通る 石鼎

春泥に低まりゆくや稚児の塚 かな女

園丁の指に従ふ春の土 虚子

春泥にぱらりと藁の撒いてをり 立子

踏みしむる白きくびすや春の泥 草城