和歌と俳句

虎杖 いたどり

後拾遺集 藤原義孝
野辺みれば弥生の月のはつるまでまだうら若きさいたづまかな

いたどりも壇のつつじの木間哉 言水

山陰に虎杖森のごとくなり 子規

虎杖やガンピ林の一部落 碧梧桐

焼石に虎杖角を出しけり 碧梧桐

虎杖や古屯田の墓所構 碧梧桐

虎杖に蜘蛛の網に日の静かなる 石鼎

牧水
虎杖のわかきをひと夜塩に漬けてあくる朝食ふ熱き飯にそへ

虎杖や蕨の束に添へ括り 泊雲

草むらや虎杖の葉の老けそめて 蛇笏

茂吉
はしけやしこの身なげきて虎杖のひいづるときになりにけるかも

千樫
奥山より子らが採り来しいたどりの太茎もらひてわれ食みにけり

苅籠やわけて虎杖いさぎよき 蛇笏

虎杖に樋の水はやし雨の中 蛇笏

虎杖を背中に負ひて猶も登る 立子

古城趾といふ石崖のさいたづま 虚子

赤斑ある虎杖思ふのみに酸し 誓子

虎杖の折れ口うるむ山河かな 耕衣

虎杖を折つて互ひの名を知らず 耕衣

虎杖の短き茎の酸に充ち 誓子

灌木視せし虎杖がさらに長け 誓子