和歌と俳句

正岡子規

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春雨に白木よごるゝ宮ゐかな

陽炎や草くふ馬の鼻の穴

たんほゝをちらしに青む春野哉

江戸人は上野をさして春の山

一休に歌よませばや汐干狩

内海の幅狹くなる汐干哉

貝とりの沙嶋へつゞく汐干哉

戀猫や物干竿の丸木橋

蝶蝶や順礼の子のおくれがち

白魚やそめ物洗ふすみた川

やみあかしのこる杉の杜

壁ぬりの小手先すかすつばめ

長町のかどやの十文字

若鮎の二手になりて上りけり

門しめに出て聞て居る かな

大佛を取て返すや燕

や二つにわれし尾のひねり

濁り江の闇路をたどる白魚

子に鳴いて見せるかの高調子

鶯の筧のみほす雪解

白魚は雫ばかりの重さ哉

恐ろしき女も出たる花見

土器にのひつつく神酒哉

山吹の垣にとなりはなかりけり

烏帽子着た人も見ゆるや嵯峨の花