春雨やゆるい下駄借す奈良の宿 蕪村
はるさめや暮なんとしてけふも有 蕪村
春雨やものがたりゆく簑と傘 蕪村
柴漬の沈みもやらで春の雨 蕪村
春雨の中のおぼろの清水哉 蕪村
池と川とひとつになりぬ春の雨 蕪村
春雨の中を流るゝ大河かな 蕪村
粟島へはだし参りや春の雨 蕪村
春雨や蛙の腹はまだぬれず 蕪村
春雨に下駄買泊瀬の法師かな 蕪村
文ぬれしことはりいふや春のあめ 召波
はるの雨肝癪持をなだめけり 暁台
春さめのこゝろながくも降日かな 白雄
はる雨や芝居みる日も旅姿 太祇
はる雨や講釈すみて残る顔 太祇
春雨や蓑の下なる恋ごろも 几董
落つみし椿がうへを春の雨 青蘿
やむ人によしのをかたる春の雨 青蘿
膳先に雀なく也春の雨 一茶
春雨やはや灯のとぼる亦打山 一茶
春雨や火もおもしろきなべの尻 一茶
艸山のくりくりはれし春の雨 一茶
ほうろくをかぶつて行や春の雨 一茶
きのふ寝しさが山見へて春の雨 一茶
春雨や窓も一人に一つづつ 一茶
庵崎や古きゆふべを春の雨 一茶
春雨や魚追い迯す浦の犬 一茶
春雨に大欠伸する美人哉 一茶
わら苞やとうふのけぶる春の雨 一茶
春雨やあひるよちよちかど歩き
春雨や喰れ残りの鴨が鳴 一茶
穴蔵の中で物いふ春の雨 一茶
一つ舟に馬も乗りけり春の雨 一茶
藪尻の賽銭箱や春の雨 一茶
しんしんとしんらん松の春の雨 一茶
春雨や欠伸をうつる門の犬 一茶
春雨や藪に吹るる捨手紙 一茶
はる雨や猫に踊ををしへる子
行灯で菜をつみにけり春の雨
春雨や鼠のなめる角田川