和歌と俳句

小林一茶

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あつさりと春は来にけり浅黄空

雪とけて村一ぱいの子ども哉

やくらまを下る小でうちん

陽炎や雫ながらの肴哉

陽炎やわらで足ふく這入口

ぼた餅や地蔵のひざも春の風

菜の花や垣根にはさむわらじ銭

べつたりとの咲たる枯木哉

わか艸にどたどた馬の灸かな

我里はどうかすんでもいびつ也

が呑ぞ浴るぞ割下水

麦に菜にてんてん舞の小てふ

さくや我にとりつく不精神

塀合や三尺ばかりはつ空

あまり鳴て石になるなよ猫の恋

菜畠に妻やこもりて鳴

正月や辻の仏も赤頭巾

石川をざぶざぶ渡る

藪尻の賽銭箱や春の雨

茶を呑めと鳴子引也朝がすみ

人声にほつとしたやら夕櫻

此やうな末世をだらけ哉

御雛をしやぶりたがりて這う子かな

御傘めす月から春は来たりけり

有様は我も花より団子哉