和歌と俳句

小林一茶

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花菫がむしやら犬に寝られけり

よりあきてもとへもどるや花の陰

行厂や夜も見らるるしなの山

几巾の尾を追かけ廻る狗哉

大凧のりんとしてある日暮哉

一星見つけたやうにきじの鳴

我と来て遊ぶや親のない雀

しがらきや大僧正も茶つみ唄

欠伸にも節の付きたる茶つみ

菜の花やかすみの裾に少づつ

やよ虱這へ這へ春の行方へ

陽炎にくいくい猫の鼾かな

陽炎にぱつかり口を蜊哉

蒲公英の天窓はりつつ猫の恋

出序にひんむしつたるわかな哉

ねはん像銭見ておはす皃も有

しんしんとしんらん松の春の雨

おらが世やそこらの草も餅になる

ぬり立の看板餅や東風が吹く

紅梅にほしておく也洗ひ猫

鶏の仲間割して日永

大井川なりしづまりて鳴雲雀

鼻先に飯粒つけて猫の恋

鴈よ厂いくつのとしから旅をした

春駒の哥でとかすや門の雪