花菫がむしやら犬に寝られけり
よりあきてもとへもどるや花の陰
行厂や夜も見らるるしなの山
几巾の尾を追かけ廻る狗哉
大凧のりんとしてある日暮哉
一星見つけたやうにきじの鳴
我と来て遊ぶや親のない雀
しがらきや大僧正も茶つみ唄
欠伸にも節の付きたる茶つみ哉
菜の花やかすみの裾に少づつ
やよ虱這へ這へ春の行方へ
陽炎にくいくい猫の鼾かな
陽炎にぱつかり口を蜊哉
蒲公英の天窓はりつつ猫の恋
出序にひんむしつたるわかな哉
ねはん像銭見ておはす皃も有
しんしんとしんらん松の春の雨
おらが世やそこらの草も餅になる
ぬり立の看板餅や東風が吹く
紅梅にほしておく也洗ひ猫
鶏の仲間割して日永哉
鼻先に飯粒つけて猫の恋
鴈よ厂いくつのとしから旅をした
春駒の哥でとかすや門の雪