元日やたたみのうへにこめ俵
歯固めに杖のへるこそめでたけれ
七種や唱哥ふくめる口のうら
花につらしつりがね三重初芝居
残りけり卯辰にかかる峰の雪
橋桁や日はさしながらゆふがすみ
田を売ていとど寝られぬ 蛙かな
鳶の巣としれて梢に鳶の声
初ざくら鮒の料理を好まれて
亀山や尻にして来る花筏
夏酒やわれも乗行火の車
われ鐘のひびきもあつき夏の月
はなれうき宿や秋まつ葡萄棚
五月雨や合羽の下の雨いきり
夕立の跡柚の薫る日陰哉
夏川やつたいありきつ里の背戸
鵜飼火に燃てはたらく白髪かな
山くまにしらぬ坊見る蚊遣かな
さびしさや一尺くへてゆく 蛍
大空も見へて若葉の奥しれず
栴檀の花ちりかけて雲津川