着だふれの京を見に出よ御忌詣
やぶ入の脛をしかくす野風哉
やぶ入や命の恩の医師の門
薮入やついたち安き中二日
やぶ入の我に遅しや親の足
大事がる柿の木枯て梅の花
転び落し音してやみぬねこの恋
琴の緒に足繋がれつうかれ猫
正月や胼いたましき采女達
あふれ越野沢や芹の二番生
日は落て増かとぞ見ゆる春の水
さす棹の拳にのるや春の水
野も山も冬のまゝじやに春の水
行水や春のこゝろの置所
絵草帋に鎮おく店や春の風
春風のこそつかせけり炭俵
春雨や蓑の下なる恋ごろも
春雨に似気なき雷の響哉
春雨や鼻うちくぼむ壬生の面
おぼろ夜や南下リにひがし山
あじろ木のゆるぐ夜比や朧月
しやせまし志賀の山越おぼろ月
落ぬべき西山遠しおぼろ月
むらさきに夜は明かゝる春の海
春の夜や連哥満たる九条殿