野は焼きて雲に雪もつ月夜哉
春の月さすがに障子一重かな
雪のま ゝに竹うちふして朧月
梅散りて古郷寒しおぼろ月
薮入やつゐでに古き墓参り
養父入やうきを五日のわすれ草
雉子啼て跡は鍬うつ光かな
己が音に驚き顔の雉子かな
子をおもふ声とやけげし夜の雉子
春の雁立さはぎては日をおくる
なき友を算へて立か小田の雁
時雨ほど声ふりか ゝるひばり哉
はなのさく草は巣にせであげ雲雀
風の 蝶きえては麦にあらはる ゝ
田の水の高ふなるかも啼 蛙
角はゆる迄啼つらん猫の恋
菜のはなを見て来て休む野寺哉
よしの出てまた菜の花の旅寐かな
はなさけり古きを祝ふ雛の宿
遠島や汐干にかける牧の駒
うれしさについつかれたる汐干哉
鶤鶏のみだれ尾に引春日かな
はる雨や接木見に行園の奥
落つみし椿がうへを春の雨
春雨や茶に呼東舎と西隣と