和歌と俳句

松岡青蘿

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12二

野は焼きて雲に雪もつ月夜哉

春の月さすがに障子一重かな

雪のま ゝに竹うちふして朧月

梅散りて古郷寒しおぼろ月

薮入やつゐでに古き墓参り

養父入やうきを五日のわすれ草

雉子啼て跡は鍬うつ光かな

己が音に驚き顔の雉子かな

子をおもふ声とやけげし夜の雉子

春の雁立さはぎては日をおくる

なき友を算へて立か小田の雁

時雨ほど声ふりか ゝるひばり哉

はなのさく草は巣にせであげ雲雀

風の きえては麦にあらはる ゝ

田の水の高ふなるかも啼

角はゆる迄啼つらん猫の恋

菜のはなを見て来て休む野寺哉

よしの出てまた菜の花の旅寐かな

はなさけり古きを祝ふ雛の宿

遠島や汐干にかける牧の駒

うれしさについつかれたる汐干

鶤鶏のみだれ尾に引春日かな

はる雨や接木見に行園の奥

落つみし椿がうへを春の雨

春雨や茶に呼東舎と西隣と