初雪の跡さかりなる枇杷のはな
夢の世の夢を見る間や年忘
年わすれ忘寐に着る蒲団かな
行年やかしらをあぐる田のひばり
行としや馬をよければ牛の角
ゆく年やとても難波の橋の数
世の外の身にも師走のあらし哉
年の市にまぎれ出けり峰の僧
きのふけふ枝ぶりかえつ年の梅
千尋あれ硯の海も年の波
年々 や年の麓のあすならふ
匂ひしは夢にや見たる除夜の梅
おもしろう松風吹けよ除夜の闇
幾人か千世の古道子日せり
芹川のあたりは深し春の水
春の夜や雨をふくめる須磨の月
陽炎の夢をつなぐか須磨の花
夜ありきもはなのあかりや芳野山
花にさはぐ都の人よあらし山
はな散りて三日月高し嵐山
水鶏なくかたの ゝさとは薄月哉
橋立や夜明夜明の天の川
やるかたのなきに見て泣須磨の月
難波津や橋めぐりして夜の雪