神鳴や一むら雨のさへかへり 去来
三日月はそるぞ寒はさえかへる 一茶
君行かばわれとどまらば冴返る 子規
野辺送りきのふもけふも冴え返る 子規
真蒼な木賊の色や冴返る 漱石
人に死し鶴に生れて冴返る
魚の眼を箸でつつくや冴返る 龍之介
冴返る魚頭捨てたり流し元 龍之介
鶴の羽や白きが上に冴え返る 碧梧桐
流氷のいつ戻りけん冴え返る 碧梧桐
冴えかへるそれも覚悟のことなれど 虚子
春めきし人の起居に冴え返る 虚子
冴返る夜を遊楽の頸飾 蛇笏
あまぐもはしろし詩文に冴返る 蛇笏
冴返る深山住ひの四方の色 蛇笏
海遠き国の嶺々冴え返る 石鼎
苦節には十年は足らず冴返る 不死男
水餅の水の濁りや冴返る 草城
ふと疼く注射のあとや冴え返る 草城
友ら逝きわが生きのびて冴え返る 草城
子は留守の照る日曇る日冴え返る 草城
冴返り空高し月遠し星遠し 立子
物置けばすぐ影添ひて冴返る 林火
冴えかへるもののひとつに夜の鼻 楸邨
惜しみ置く箸も茶碗も冴えかへる 楸邨
冴返るわれらが上や二仏 波郷