五六本よりてしだるる柳かな
何事ぞ花見る人の長刀
神鳴や一むら雨のさへかへり
一畦はしばし鳴きやむ 蛙哉
一むしろちるや日うらの赤椿
石も木も眼にひかるあつさかな
鎧着てつかれためさん土用干
酔顔に葵こぼるる匂ひかな
郭公なくや雲雀と十文字
石垢に猶くひ入や淵の 鮎
舟乗りの一浜留守ぞけしの花
葉がくれをこけ出て 瓜の暑さ哉
月かげに裾を染たよ浦の秋
花も実も晩稲に多し神の秋
松杉もおかめと晴るる秋の雲
月のこよひ我里人の藁うたん
馬の口よくとれ霧の谷ふかし
濡つ干つ旅やつもりて袖の露
眠たる目をあらはばや秋の水
あきの水淡路島根をかこひけり
駒索の木曾や出らんみかの月
山陰や烏入来る星むかへ
岩鼻やここにもひとり月の客
鴨川や月見の客に行当り
山家にて魚食ふ上に早稲の飯