和歌と俳句

芥子の花

芭蕉 (野ざらし紀行)
白げしにはねもぐ蝶の形見哉

海士の顔先見らるるやけしの花 芭蕉

ちり際は風もたのまずけしの花 其角

青雲や馬鍬やすむる昼の罌粟 丈草

舟乗りの一浜留守ぞけしの花 去来

掃庭やこぼれたままにけしの花 支考

けしの花我身わすれし月日哉 千代女

けしの花籬すべくもあらぬ哉 蕪村

露たかき麦の見こしや芥子の花 暁台

しら芥子に焚火移ふや嵯峨の町 暁台

汐かぜや砂ふきかゝるけしの花 暁台

花罌粟にくむで落たる雀かな 白雄

白罌粟や片山里の朦の中 太祇

白芥子の美人かくるゝ草の庵 青蘿

白罌粟に照りあかしたる月夜哉< 青蘿

白罌粟に煤はく家や加茂の里 几董

芥子の花がうぎに雨の一当り 一茶

生て居るばかりぞ我とけしの花 一茶

花げしのふはつくやうな前歯哉 一茶

清書の赤い直しや芥子の花 一茶

僧になる子のうつくしやけしの花 一茶