和歌と俳句

麦刈り

麦刈て遠山見せよ窓の前 蕪村

麦刈に利き鎌もてる翁かな 蕪村

麦刈ぬ近道来ませ法の杖 蕪村

麦刈て瓜の花まつ小家哉 蕪村

里の女や麦にやつれしうしろ帯 一茶

菊池路や麦を刈るなる旧四月 漱石

麦を刈るあとを便りに燕かな 漱石


あたたかき 安房の外浦は 麥刈ると 枇杷もいろづく なべてはやけむ

牧水
たそがれの 沼尻の水に 雲うつる 麦刈る鎌の 音もきこえ来る

晶子
夏の野に とりいれすなり 裸麦 その香おもほゆ わかき日の恋

牧水
停車場の 汽車のまどなる 眼にさびし 山辺の畑に 麦刈れる子等

麦刈や娘二人の女わざ 鬼城

麦刈の大きな笠に西日かな 鬼城

麦刈れば水到り田となりぬ 鬼城

麦刈りし人のつかれや昼の月 龍之介

生駒より峰山高し麦刈れば 青畝

麦刈やほつれ葉鎌でかき揚げて 泊雲

麦刈や踏めば砕くる土煙 泊雲

麦刈や西日が強き中のこと 喜舟

麦刈りの終んぬる野をみそなはせ 汀女

野路行けば戻りつぐなり麦車 誓子

麦車光る馬鍬をのせゆけり 誓子

刈る麦のすこしつめたし老いしかば 耕衣

麦刈るやまた一しきり通り雨 万太郎

天上に映りて麦を刈り尽す 耕衣

麦刈が立ちて遠山恋ひにけり 多佳子

麦刈の腰を祝福する他なし 静塔

天上に映りて麦を刈り尽す 耕衣

母の腰最も太し麦を刈る 三鬼

鉢巻禿頭笑ふは日のみ麦を刈る 草田男

麦刈や汽車早けれど刈り進む 立子

因業が健康の素麦を刈る 三鬼

因業の鉄の手足や麦を刈る 三鬼

麦刈りてたばね光りの束となす 林火

髪立ちてあらしの男麦刈れり 静塔

麦刈りやハモニカへ幼女の肺活量 三鬼

麦刈女汗に張る目の泣けるとも 林火

草山に降り麦刈に太き雨 静塔

一列の麦刈り休む両手さげ 静塔