和歌と俳句

鐵線花 クレマチス

咲ばふる雨のきたいか鉄線花 才麿

鉄線の花さきこむや窓の穴 龍之介

鐡線花馬蹄の音のさしかかる 汀女

鉄線を生けて小暗き中二階 立子

ひとり居の朝やうち向ふ鐵線花 秋櫻子

風鎮は緑水晶鉄線花 虚子

鉄線の蕊紫に高貴なり 虚子

鉄線の花は豪雨に堪へゐしか 虚子

鉄線にけふは若くものなき庭か 虚子

鉄線を咲かせて主書に籠る 虚子

鉄線花咲きそめにけり父の窓 立子

鉄線の咲けば咲くよと母歎く 立子

てつせんの紫くらきこのうれひ 万太郎

濃紫黒よりくろし鉄線花 青畝

荒れ藪の鐵線花咲く欅の木 蛇笏

山風の温微にゆるる鐵線花 蛇笏