和歌と俳句

星野立子

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都電来る又都電来る夕立中

娘と我の性火取蟲誘蛾燈

夕焼の今紫にカルカッタ

月涼しよこぎる牛に車とめ

朝焼けや水甕を頭に一列に

水撒けば烏とんとんと集り来

村人は荷を頭にかざし麦は熟れ

夕立晴ピサの斜塔につきにけり

薫風や赤ネクタイの老紳士

皆が見る私の和服パリ薄暑

熱帯魚透きてめらめら水草かな

楽しさや避暑二日目の朝掃除

卯の花の咲けばそぞろに旅心

早乙女等榛の木道を次の田へ

木下闇とび来し蝶に空気揺れ

柄の長き日傘が流行り来りけり

合歓散るを見をる我等に僧寄り来

客人に昼寝すすめてゐてねむし

朝涼し雑巾がけに追はれ掃く

鉄線花咲きそめにけり父の窓

鉄線の咲けば咲くよと母歎く

淋しさや父よ父よと明易や

旅に出て父見し山河茂り合ひ

囲づくりに余念なき蜘蛛太藺中