和歌と俳句

避暑

避暑に来て君書を読まず行李の書 碧梧桐

沓ぬぎに家鴨も来るや避暑の宿 碧梧桐

避暑人に電燈這ひともる翠微かな 虚子

避暑客のつらなり出づる夕戸かな 草城

避暑の宿一つの鍋に何もかも みどり女

鶯のしきりに鳴くや避暑の宿 播水

避暑客にくだくる浪の面白や 播水

白樺の皮葺きたれや避暑の宿 誓子

避暑の宿まどゐの洋燈暗けれど 誓子

避暑客に日落ちて富士の現れし 秋櫻子

避暑客に月輪浪を離れけり 秋櫻子

避暑の宿夕風にみな灯りけり 草城

をとめらの棟は早寝や避暑の宿 草城

避暑宿の壁に貼りたる子供の繪 虚子

走り咲く萩一枝や避暑の宿 播水

時化あとの浪見に出る避暑の客 播水

けふもまた浅間の灰や避暑の宿 青邨

ナプキンの糊のこはさよ避暑の荘 草城

をどり見にさそはれてゆく避暑の宿 

ピアノ弾くをさなきものや避暑の荘 草城

けはひせぬ顔のしたしさ避暑の妻 草城

避暑の娘を大濤高う揺りにけり 蛇笏

青海を瑞の籬とす避暑の荘 誓子

避暑の荘鎧戸白く夜をささず 誓子

乙女の愚をんなと歎く避暑の宿 草田男

バス降りて主人帰るや避暑の宿 立子

避暑人の住み交りをり圓覺寺 たかし

避暑宿の朝は湯滝のけぶり見ゆ 爽雨

白蚊帳の大紋どころ避暑の寺 爽雨

少年に蛾のつきまとひ避暑の家 波郷

避暑日誌けふ朝虹を見しことも 麦南

避暑の宿うら戸に迫る波白し 犀星

襷とりながら案内や避暑の宿 虚子

避暑宿へひかりつづける砂のあり 林火

避暑の子のゆふかぜ追ふごとく遊ぶ 林火