蓮のかを目にかよはすや面の鼻 芭蕉
蓮白しもとより水は澄まねども 千代女
白蓮を切らんとぞおもふ僧のさま 蕪村
佛印のふるきもたへや蓮のはな 蕪村
羅に遮る蓮のにほひ哉 蕪村
蓮の香や水をはなるる茎二寸
白蓮にゆふ雲蔭るあらし哉 白雄
蓮の香や深くも籠る葉の茂 太祇
先いけて返事書也蓮のもと 太祇
蓮の花虱を捨るばかり也 一茶
うす縁や蓮に吹かれて夕茶漬 一茶
ふきかへす簾の下やはすの花 子規
行水をすてる小池や蓮の花 子規
昼中の堂静かなり蓮の花 子規
弁天の石橋低し蓮の花 子規
夜の闇にひろがる蓮の匂ひ哉 子規
紅白の蓮擂鉢に開きけり 漱石
徘徊す蓮あるをもて朝な夕な 漱石
白蓮に仏眠れり磐落ちて 漱石
そり橋の下より見ゆる蓮哉 漱石
暁闇を弾いて蓮の白さかな 龍之介
天竺に女人あまたや蓮の花 龍之介
夕立の来べき空なり蓮の花 龍之介
黒谷の松や蓮さく朝嵐 碧梧桐
黎明の雨はらはらと蓮の花 虚子
蓮剪つて畳の上に横倒し 鬼城
蓮の葉押しわけて出て咲いた花の朝だ 放哉
白うさいてきのふけふなき蓮かな 水巴
白蓮やはじけのこりて一二片 蛇笏
蓮咲くや桶屋の路地の行きどまり 万太郎
興亡や千万の蓮くれなゐに 青邨
田の面に蓮田の白き花ひらく 秋櫻子
蓮散華美しきものまた壊る 多佳子
蓮散華浮かべるに我慌てけり 耕衣
蓮瓣の匙の空濃し白く濃し 耕衣
白蓮や顔ならば穴開いて居る 耕衣
蓮に佇つや肋あらはの聖者ならで 草田男
遠き世の如くに遠くに蓮の華 誓子
べにはすや日闌けし水に悩ましき 草城
あひびきがのろのろ歩く蓮の花 草城
蓮見えてその香また来て木の間より 爽雨
水走る散華つと見え蓮嵐 爽雨
辛酒や村一番の蓮が咲き 静塔