おぼつかな土用の入の人心 杉風
うつくしや雲一つなき土用空 一茶
ほろほろと朝雨こぼす土用哉 子規
でで虫の草に籠りて土用かな 鬼城
あららかに掃くや土用の古畳 草城
稲妻をさいて水ゆく土用かな 水巴
わが背に艾の燃ゆる土用かな 草城
わぎもこのはだのつめたき土用かな 草城
さわさわと掃くや土用の青畳 草城
草木の土用に人は疲れたり かな女
土用星洋に珊瑚のもゆるらむ 石鼎
ひんがしに星一つ土用夜明まへ 石鼎
老友が坐る土用の古畳 草城
貧相な薔薇の咲きたる土用かな 真砂女
岬波の青渦巻の土用かな 不死男
招かれて古江見てをり土用丑 秋櫻子
一俵の備長炭や土用丑 青畝
土用にして灸を据うべき頭痛あり 漱石
土用灸艶なき肌を焦しけり 草城
いかなこと動ぜぬ婆々や土用灸 蛇笏
土用灸こらゆる涙ぽろぽろと 淡路女
わが背に艾の燃ゆる土用かな 草城