和歌と俳句

閻魔詣 えんままいり

香煙の四簷しみ出て閻魔かな 青畝

合邦ケ辻の閻魔や宵詣 夜半

からくりの鉦うつ僧や閻魔堂 茅舎

閻王や蒟蒻そなふ山のごと 茅舎

御宝前のりだし給ふ閻魔かな 茅舎

蒟蒻に切火たばしる閻魔かな 茅舎

閻王のまえに昼寝の床几在り 誓子

閻王の紅蓮の舌の埃かな 風生

雑閙のお閻魔さまへ汗かきに 青邨

今昔の施主の名のある閻魔かな 青畝

閻王の眉は発止と逆立てり 虚子

蝋燭に照らし出されし閻魔王 杞陽

顔に笏の影ある閻魔かな 朱鳥

寝るまでは閻魔の蝋を守りけり 青畝

亡者らを白く塗りたる閻魔かな 青畝

蚊のなかにおはすがごとし閻魔王 青畝