和歌と俳句

百合

古歌集
道の辺の草深百合の花笑みに笑みしがからに妻といふべしや

家持
油火の光に見ゆる我がかづらさ百合の花の笑まはしきかも

伊美吉縄麻呂
燈火の光りに見ゆるさ百合花ゆりも逢はむと思ひそめてき

家持
さ百合花ゆりも逢はむと思へこそ今のまさかもうるはしみすれ

立かかる清水や岩に百合の花 支考

しさりたり寄ても見たりゆりの花 千代女

ひとすじに百合はうつむくばかり也 千代女

胸をやむ人を似せてや百合の花 也有

かりそめに早百合生けたり谷の房 蕪村

草臥や百合になぐさむ鳳来寺 暁台

空ざまにゆり咲て日を禀るかな 暁台

しんしんとゆりの咲けり鳴雲雀 一茶