和歌と俳句

納涼 涼み

好忠
夏衣龍田川原の柳かげすずみに来つつ馴らすころかな

好忠
禊する加茂の川風吹くらしも涼みにゆかん妹をともなひ

定家
夕涼とぶ火の野守このごろやいまいくかありてあきの初かぜ


命なりわずかの笠の下涼ミ 芭蕉

百里来たりほどは雲井の下涼 芭蕉

忘れずは佐夜の中山にて涼め 芭蕉

皿鉢もほのかに闇の宵涼み 芭蕉

瓜作る君があれなと夕すずみ 芭蕉

あつみ山や吹浦かけて夕すずみ 芭蕉

川かぜや薄がききたる夕すずみ 芭蕉

唐破風の入日や薄き夕涼 芭蕉

飯あふぐかかが馳走や夕涼 芭蕉

皿鉢もほのかに闇の宵涼み 芭蕉

夕すずみよくぞ男に生れけり 其角

しらぬ人と謡問答すずみ哉 鬼貫

立ありく人にまぎれてすゞみかな 去来

牛もなき車の尻や夕すずみ 支考

夕すずみあぶなき石にのぼりけり 野坡

さし当る用も先なし夕すずみ 涼菟

柿の葉の風砕たるすずみかな 土芳

無花果や広葉にむかふ夕涼 惟然

松の葉に心とらるるすずみかな 千代女