和歌と俳句

七月

晶子
七月や うすおしろいを したる風 歩み来りぬ 木の下行けば

牧水
放たれし 悲哀のごとく 野に走り 林にはしる 七月のかぜ

牧水
七月の 山の間に 日光の あをうよどむに 飛ぶつばめあり

七月の蝌蚪が居りけり山の池 虚子

七月の青嶺まぢかく溶鉱炉 誓子

七月の国灼くる見ゆ妹が居は 誓子

七月の望の宵とて黍高し 秋櫻子

七月の冷たきスウプ澄み透り 草城

蝉やんで獄の七月けふも昏れぬ 不死男

七月の浪を見てゐし眼を閉づる 草城

七月や赤き木屑を挽き散らし 誓子

七月や眼より馬情を推しはかる 誓子

七月の蛍遅しとせざるなり 誓子

七月や砂地が影になつてゐて 綾子

七月や髪うすうすとわが顱頂 草城

七月や既にたのしき草の丈 草城

七月や妻の背を越す吾子二人 波郷

七月の碧落にほふ日の出前 秋櫻子

七月の光が重し蝶の翅 多佳子

群青をもて七月を塗りつぶす 風生

七月のくらきところを鷄あゆむ 双魚

山の名は白七月も雪残る 誓子