花過ぎしゆすらや茱萸や登山道
鳰鳥の息のながさよ櫨紅葉
三室山桑の葉黄ばむ道来れば
かの巫女の手焙の手をを恋ひわたる
天邪鬼夜番の柝にめつぶれる
雪の堂吉祥天女壊れます
落ち羽子に潮の穂さきの走りて来
遣羽子や海原かくすさうび垣
繋りたる鞆の港や羽子日和
蝌斗生れて畝火の溝におよぐなり
鞦韆や舞子の駅の汽車発ちぬ
あがり来て忍坂の凧峯をちかみ
鷺の湯を舞ひ獅子の顔覗きけり
壷焼や海女のいとなみ居つつ見ゆ
巨き船造られありて労働祭
飼屋の灯后の陵の方にまた
塔中の僧門の子に星まつり
白樺の皮葺きたれや避暑の宿
避暑の宿まどゐの洋燈暗けれど
妹とゐて俳諧の夏たのしけれ
妹が居の宰相山も夏祭
七月の国灼くる見ゆ妹が居は
空蝉を妹が手にせり欲しと思ふ
手花火に妹がかひなの照さるる