寝がへれば骨の音する夜寒かな
秋風や五厘の笛を吹く子供
風邪の子の熱く小さき手足はも
風邪の子を見つむるなべに疲れゆく
風邪の子に寒雨はつのるあまつさへ
いのちありて蜜柑の露をよろこべる
クリスマスかの凍て星に遠き世を
クリスマス神父の黒衣裾長に
球を獲てラガーたぎちを溯るかに
防空燈雪雲とらへあそびをり
異人墓地木梢の海も雪ぐもる
異人墓地花束雪にうもれたる
異人墓地十字架雪をよそほへる
異人墓地雪の糸杉かがよへる
異人墓地雪むらさきに夕づける
昼閑か洋書部春の灯をともし
春昼の洋書部守りかの売子
洋書部の窓ゆく春の雲しづか
裸馬ぼくぼく畑は日闌けて葱坊主
裸馬ぼくぼく遠に櫟の芽がひかり
裸馬ぼくぼく捨てた煙草は草の芽に