俳句案内

種田山頭火

鉢の子

其中一人

行乞途上

山行水行

雑草風景

柿の葉

孤寒

旅心


山頭火
山頭火
山頭火さん
山頭火さん
山頭火

お正月の鴉かあかあ

落葉の 水仙の芽かよ

松はみな枝垂れて南無観世音

松風に明け暮れの鐘撞いて

ふるさとは遠くして木の芽

木の芽草の芽あるきつづける

よい湯からよい月へ出た

はや芽吹く樹で啼いてゐる

しづかな道となりどくだみの芽

がもう売られてゐる

ここにおちつき草萌ゆる

いただいて足りて一人の箸をおく

あるけば蕗のとう

椿ひらいて墓がある

いちりん挿の椿いちりん

すずめをどるやたんぽぽちるや

もう明けさうな窓あけて青葉

こころすなほに御飯がふいた

てふてふうらからおもてへひらひら

やつぱり一人がよろしい雑草

若葉銀杏すくすくと伸びて雲もなし

さみだるる大きな仏さま

ほうたるこいふるさとにきた

うまれた家はあとかたもないほうたる

泊ることにしてふるさとの葱坊主

夕立晴るる高楼に妓や山路なる

跫音ちかづきハタと消えたり風立ちぬ

ささやかな店をひらきぬ桐青し

水はみな音たつる山のふかさかな

しとどに濡れてこれは道しるべの石

炎天をいただいて乞ひ歩く

お墓したしさの雨となつた

花いばら ここの土とならうよ

あるけばかつこういそげばかつこう

ここまでを来し水飲んで去る

水音のたえずして御仏とあり

なるほど信濃の月が出てゐる


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