俳句案内

三橋鷹女

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夕月やあぎと連ねて鯉幟

一むらのおいらん草に夕涼み

桜桃のみのれる国をまだ知らず

梅雨冷えや一りん赤き花ざくろ

鈴蘭の香はしけやしかをり傘

人妻は髪に珊瑚や黄雀風

夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり

秋近き風鈴となりねむられぬ

吾が好きは犬と牡丹よ水を打つ

卯月来ぬましろき紙に書くことば

卯月来ぬあしたあさてを寝ておもふ

卯月来ぬ自分に飽きてゐる自分

おいらん草に情熱もゆるかなしかり

今宵蛾に触りてしこめと吾がなりし

が白くしこめは梳けり夜の髪を

のひげの垂れて来てわれを嗤ふかな

風吹くと鹿の子の瞳ものをいふ

顔よせて鹿の子ほのかにあたたかし

世に倦めり鹿の子に倦めり泣きたかり

ひるがほに電流かよひゐはせぬか

昼顔や人間のにほひ充つる世に

羽蟻飛び立ちぬ平和な朝がいま

光りつつ羽蟻は穹にちらばれり

芥子散ればおもき頭蓋がわれにある

芥子散つて細菌髪の毛をねらふ

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