葉がくりにあるはまだ青しあらはなるトマトに紅のいろさしそめて 牧水
一枝に五つのトマトすずなりになりてとりどりに色づかむとす 牧水
汲み入るる水の水泡のうづまきにうかびて赤きトマトーの実よ 牧水
水甕の深きに浮び水のいろにそのくれなゐを映すトマトよ 牧水
舌に溶くるトマトーの色よ匂ひよとたべたべて更に飽かざりにけり 牧水
トマトのくれなゐの皮にほの白く水の粉ぞ吹けるこの冷えたるに 牧水
驚きて猫の熟視むる赤トマトわが投げつけしその赤トマト 白秋
千万の宝にたぐひ初トマト 久女
処女の頬のひほふが如し熟れトマト
母美しトマトつくりに面痩せず
朝に灌ぎ夕べに肥し花トマト
降り足りし雨に育ちぬ花トマト
新鮮なトマト喰ふなり慾もあり
好きといふ露のトマトをもてなされ 茅舎
麺麭とトマト、バッハの曲からペトロの声 草田男
虹たつやとりどり熟れしトマト園 波郷