和歌と俳句

日盛り

日盛りや葭雀に川の音もなき 一茶

日ざかりや海人が門辺の大碇 子規

砲車過ぐる巷の塵や日の盛り 碧梧桐

日ざかりやおのが影追ふ蓬原 蛇笏

白秋
日ざかりは短艇動かず水ゆかず潟はつぶつぶ空は燦燦

利玄
松の間の茶屋の莚に大き蟻這ひまはり居る山の日ざかり

利玄
日盛りの光みなぎり松の梢の行ひけざやかに見ゆ

日盛や合歓の花ちる渡舟 鬼城

千樫
日盛りの街樹のかはをかじり居る馬の歯白くあらはに光る

日盛や松脂匂ふ松林 龍之介

笹原や笹の匂も日の盛 龍之介

植木の針金が日盛りの日に錆びて 碧梧桐

日盛や雨を思はぬ稗畑 碧梧桐

日盛りの人ひしめける温泉かな 虚子

日ざかりや青杉こぞる山の峡 龍之介

日盛の土にさびしやおのが影 草城

たのもしく松風立つや日の盛 草城

日盛の壁を眺めて無聊なる 草城

松の葉のしんかんとして日の盛 草城

日盛や綿をこあむりて奪衣婆 茅舎

日盛や門前に打つ箔砧 普羅