和歌と俳句

好忠
夏麻の下葉の草のしげさのみ日ごとにまさる頃にもあるかな

好忠
わが撒きしあさの生ふねもけふ見れば千枝に分れて蔭ぞ涼しき


麻から売帰る足にて安く候 才麿

麻村や家をへだつる水ぐるま 其角

背戸の戸の明やう見たり麻の花 支考

麻の香のくるも涼しや寺の庭 北枝

夕立や紙漉隣麻つくる 野坡

しののめや露の近江の麻畠 蕪村


刈麻やどの小娘の恋衣 子規

日の入りや麻刈るあとの通り雨 子規

夕暮やかならず麻の一嵐 子規

風吹くや人無き路の麻の丈 龍之介

麻の中月の白さに送りけり 虚子

刈ることもくくることも麻の一人かな 石鼎

土塊に高草見たり麻を刈る 石鼎

麻負うて一にん来る夕日かな 草城

月明や廃墟このあたり麻残る 草城

城門を出て坂道や麻の月 草城

棄猫のないて麻畑月夜かな 草城

索道の石炭落す麻畠 誓子

麻すでに咲くべくなりぬ日をかぞふ 悌二郎

麻の中雨すいすいと見ゆるかな 虚子

麻茂り伏屋の軒を見せじとす 風生

手のとどくごとき白雲麻畑に 林火

麻刈りて大きな水車まはるなり 青畦

麻干すやいらくさのまだ朝の露 静塔

多勢にて青麻引のいそがるる 静塔

麻車でる麻畑の無一物 静塔

青麻を地より抜くなり剥がすなり 静塔

釜中より青丹ゆがきの麻がでる 静塔