和歌と俳句

金魚

さる程に金魚にもあく奢りかな 虚子

真白くて出目の金魚が一つかな 碧梧桐

縁ばかりまはる金魚の尾切れかな 碧梧桐

しだり尾の錦ぞ動く金魚かな

お目見得の日も暮れかかる金魚かな 万太郎

貧しさに馴れて金魚も飼ひにけり 万太郎

赤貧洗ふがごとく金魚飼ひにけり 蛇笏

花入れて数にも見ゆる金魚かな 泊雲

灯に映えて金魚赤さや風雨の夜 泊雲

灯してさざめくごとき金魚かな 蛇笏

生涯の今の心や金魚見る 虚子

恋さめて金魚の色もうつろへり 虚子

闇の金魚いとしみ見れば動きけり 淡路女

夜店の金魚すくはるるときのかがやき 山頭火

うろを出し金魚にひろし月の池 石鼎

白金魚緋の鰓燃えて静かなる 石鼎

大甕や老いて紅濃き二タ金魚 石鼎

灯の玉に色充ちて金魚廻りけり 石鼎

夜の金魚静かに游ぐまくれなゐ 草城

灯ともりて愕然赤き金魚かな 草城

金魚見るや雨やみがての傘廻しつ みどり女

漏れ日さす底に出てゐし金魚哉 石鼎

真向ひにぢつととまれる金魚かな 風生

ほのぼのとうす藻のひげとある金魚 石鼎

しづまれど金魚をどれるさまにあり 石鼎

忘られし金魚の命淋しさよ 虚子

桶の水浅く揺らるる金魚かな 風生

いつとなく金魚の水の上の煤 青畝