和歌と俳句

斑猫 みちをしえ

白秋南風薔薇ゆすれりあるかなく斑猫飛びて死ぬる夕ぐれ

斑猫の或はとんで芋の葉に 泊雲

己が影跳びもはなれずみちをしへ 青畝

斑猫やかならず驢馬の脚の前 青畝

道作りみなひだるしやみちをしへ 青畝

此方へと法の御山のみちをしへ 虚子

みちをしへ道草の児といつまでも 青畝

そろひ翔つ翠微の土のみちをしへ 青畝

みよらかな砂に蜚ばざるみちをしへ 草城

道をしへ雨降りいでて失せにけり 播水

みちをしへ止まるや青く又赤く 青畝

みちをしへ川原をふめば揚がりけり 青畝

蚊見えて大きかりけるみちをしへ 青畝

なにがしの野べのおくりやみちをしへ 青畝

つんつんと遠ざかりけりみちをしへ 立子

青空を蜚ときのありみちをしへ 草城

斑猫の王が交りて山しづか 普羅

道をしへ法のみ山をあやまたず 久女

道をしへ一筋道の迷ひなく 久女

草の戸を立出づるより道をしへ 素十

斑猫の昼の月よりくだるかな 楸邨

斑猫や内わにあるく女の旅 草田男

わが斑猫妻と別れてかへす辺に 波郷

斑猫が光りゴム長靴乾く 三鬼

青年は日向でいこふ道をしへ 草田男

道をしへ先達けふも下駄ばきに 草田男

妻子にも後れ斑猫にしたがへり 波郷

道をしへ既往の方は暮色のみ 草田男

道をしへ跳ね跳ね昭和永きかな 静塔

橋に乗るかなしき道を道をしへ 不死男

可愛岳攀づる径なし道をしへ 秋櫻子

衆のため大師の使道をしへ 誓子

乗物のみちのわるさやみちをしへ 青畝

堂前にをしへとどまり道をしへ 爽雨

みちをしへ富士には隠れ道はなし 静塔