時もはや梅に塩するあつさ哉 野坡
梅干すや庭にしたたる紫蘇の汁 子規
梅干にすでに日蔭や一むしろ 碧梧桐
梅干の稍々皺出来て干されけり 虚子
塩噴きしひね梅干を珍重す 風生
梅干してあたりにものの影のなき 風生
梅干すやおどろの髪に白手拭 石鼎
干梅の皺たのもしく夕焼くる しづの女
梅壺の底の暗さよ祖母母われ 多佳子
漬梅と女の言葉壺に封ず 多佳子
金銀を封ぜし如き梅壺よ 多佳子
梅干を封ぜし壺のなぜ肩よ 多佳子
紅き梅コロナの炎ゆる直下に干す 多佳子
西日浄土干梅に塩結晶す 多佳子
夜天より梯子降りて来て梅を干す 鷹女
梅干して人は日蔭にかくれけり 汀女
紅あかく海のほとりに梅を干す 誓子
干梅の程隔りてうつくしき 誓子
干梅や眼をやるたびに紅に 誓子
年どしの一笊の梅岩に干す 誓子
干梅のやはらかさ指触れねども 誓子
星天を夜干の梅になほ祈る 誓子
干梅の香がせり死なずともよきらし 誓子
谷汲はしづかなる寺くれなゐの梅干ほしぬ日のくるるまで 茂吉
あまつ日の強き光にさらしたる梅干の香が臥処に入り来 茂吉