和歌と俳句

橋本多佳子

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の穴が地軸の暗さ見す

と老婆その影むらさきに

田を植ゑてあがるや泳ぎ着きし如

男女入れ依然暗黒木下闇

梅壺の底の暗さよ祖母・母・われ

漬梅と女の言葉壺に封ず

金銀を封ぜし如き梅壺

梅干を封ぜし壺のなぜ肩よ

透ける簾に草炎の崖へだつ

七月の光が重し蝶の翅

けふの果紅の峰雲海に立つ

乳母車帰る峰雲ばら色に

華麗なるたいくつ時間ばらの園

姉妹同じ声音鳴く中に会ひ

籐椅子が四つ四人姉妹会ふ

蝉声に高音加はる死は遠し

紅き梅コロナの炎ゆる直下に干す

西日浄土干梅に塩結晶す

吾去れば夏草の領白毫寺

書を曝す中に紅惨戦絵図