和歌と俳句

虫干し 土用干し 曝書

土用干し

無き人の小袖も今や土用干 芭蕉

富士山やかのこ白むく土用干 素堂

夜着を着てあるいて見たり土用干 其角

鎧着てつかれためさん土用干 去来

一竿は死装束や土用ぼし 許六

いささかな料理出来たり土用干 蕪村

土用干うその鎧もならびけり 子規

出陣に似たる日もあり土用干 子規

白無垢の一竿すずし土用干 子規

政宗の眼もあらん土用干 子規

わが物も昔になりぬ土用干 子規

祖母様の大振袖や土用干 漱石

病む母に父の形見の土用干 虚子

隠家にほのめく鎗や土用干 虚子

さらさらと又落衣や土用干 爽雨

槻かげに主憩へり土用干 泊雲

海女が住む埴生の小屋も土用干 淡路女

拝領のもの一竿や土用干 虚子

本陣の語りぐさにと土用干 青畝

土用干いつ着るわれの服も干す 草城