和歌と俳句

高浜虚子

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明治28年

きのふけふ繭ごもるとの便りかな

常磐木の落葉踏みうき別かな

海を見つ松の落葉の欄に倚る

和田村で合羽買ひけり五月雨

蝸牛の妻も籠れり杓の中

湖をめぐりて雨の田植かな

さはさはと真菰動くや鎌の音

引網の夕汐時やほととぎす

夏草や古井の底の水の音

夕立やぬれて戻りて欄に倚る

手も足もおしうづむ砂の清水かな

涼しさや雨吹き下す空の闇

行夏や彌陀の後ろの蚊のうなり