和歌と俳句

衣更 ころもがえ

金春や三味の袋も衣かへ 子規

姉が織り妹が縫うて衣更え 子規

風吹いて飛ばんとぞ思ふ衣がへ 子規

更衣少し寒うて気あひよき 子規

亡き母の思はるる哉衣がへ 漱石

親はまだ衣更ふべくも見えざりき 子規

ぬいで丸めて捨てて行くなり更衣 漱石

衣更へて京より嫁を貰ひけり 漱石

人の国に来てぞ似つかぬ衣更 碧梧桐

法帖の古きに臨む衣がへ 子規

埒もなく禅師肥たり更衣 漱石

衣更へて机に向ふうつし物 子規

物なくて軽き袂や更衣 虚子

更衣同心衆の十手かな 漱石

座と襟を正して見たり更衣 漱石

衣更て見たが家から出て見たが 漱石

我ながら茶勝の縞や更衣 碧梧桐

衣更野人鏡を持てりけり 鬼城

衣更へし腰のほとりや袴はく 石鼎

衣更へて一つとなりし行李かな 石鼎

人妻となりて三とせや衣更へ 龍之介

うき人もをさな寂びたり衣更へ 龍之介

水際の草伸びやうや更衣 万太郎

神仏も持たで庵や更衣 石鼎

我肌にほのと生死や衣更 石鼎

人にやゝおくれて衣更へにけり 淡路女

友の死をなげきつゞけつ更衣 淡路女

衣更へて庭に机にある日かな 禅寺洞

在り慣れてうき世ともなし衣更 草城

内縁の妻の誠や衣更 草城

源氏名の昔もありぬ衣更 草城