和歌と俳句

万葉集巻第十二・作者不詳
橡の袷の衣裏にせば我れ強ひめやも君が来まさぬ


あわせ出せ花さへ芥子の一重なる 来山

一日で花に久しき袷かな 鬼貫

腸は野に捨たれど袷かな 嵐雪

人先に医師の袷や衣更 許六

芳野をも見ずにことしも袷かな 也有

旅立を人もうらやむ袷かな 太祇

たのもしき矢数のぬしの袷哉 蕪村

那須七騎弓矢に遊ぶ袷かな 蕪村

西行は死そこなふて袷かな 蕪村

橘のかごとがましきあはせかな 蕪村

袷着て身は世にありのすさび哉 蕪村

袷着て身は世にありのすさび哉 蕪村

小原女の五人揃うてあはせかな 蕪村

袷きる度にとしよると思哉 一茶

春日野の鹿にかがるる袷かな 一茶

としよれば犬も嗅ぬぞ初袷 一茶

たのもしやてんつるてんの初袷 一茶

はつ袷にくまれ盛にはやくなれ 一茶

おりかけの縞目にかかる初袷 一茶