和歌と俳句

忍冬の花 すいかずら

蕪村
蚊の声す忍冬の花散るたびに


藪陰のおどろがさえにはひまどひ蕗の葉に散る忍冬の花


忍冬の花さきひさに鬼怒川にぼら釣る人の泛けそめし見ゆ


すひかづら垣根に淋し七浦のまだきの雨に獨り來ぬれば

牧水
松荒きこの松原にすひかづらひとり匂ひて咲きにけるかも

耕平
降る雨に濡れつつ咲けるすひかづら黄色乏しくうつろひにけり

夜半
忍冬の花折りもちてほの暗し

汀女
すいかづらたまの揚羽の長くゐず

たかし
忍冬綴れる門を久に出ず

秋櫻子
やぶさめや山路なほ咲くすひかづら

鷹女
忍冬のこの色欲しや唇に

青畝
忍冬の神の噴井を司る