朴の花

晶子
梢より音して落つる朴の花白く夜明くるここちこそすれ

一瓣散り一瓣朴のほぐれ行く 碧梧桐

利玄
雨くらき向ひの繁山高處にて木ぬれに白きは朴の花かも

千樫
白黄の朴の木の花いちじろくいまはなげかじ寂しかりとも

千樫
はるかなる逢ひなりながらほのぼのとなごりこひしき朴の木の花

晶子
人の子は涙を流し朴の花恋することに飽きて香を立つ

晶子
柏の葉青くひろごり朴の花甘き匂ひす鳥にならまし

白秋
光発しその清しさはかぎりなし朴は木高白き花群

白秋
墓石に朴の散花日を経れば縁朽ちにけり一弁一弁

岨高く雨雲行くや朴の花 秋櫻子

畦塗のひそかに居りぬ朴の花 秋櫻子

折り持つて大葉二枚の朴の花 石鼎

青ざめて人らあゆめり朴の花 悌二郎

朴の花匂ひあわゆき舌に溶け 茅舎

朴の花咲きしより夏寒き日の続く 茅舎

臺にして深山の朴の花ひらく 秋櫻子

宵に昏く暁にしづけき朴の花 石鼎

ちちははに我家の花の朴を剪る 悌二郎

晴るる日も嶽鬱々と厚朴さけり 蛇笏

示寂すといふ言葉あり朴散華 虚子

朴の花暫くありて風渡る 素十

天が下朴の花咲く下に臥す 茅舎

朴の花白き心印青天に 茅舎

朴の花猶青雲の志 茅舎

朴散華即ちしれぬ行方かな 茅舎

朴の咲く淵に小さき発電所 たかし

朴咲くやベンチに眠るひとを見過ぐ 林火

雲にどよむ正午のサイレン朴咲けり 林火

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